レストアサービスの内容について、おさらいしてみましょう。

2018年、G-SHOCK生誕35周年記念の企画の一つとして、
「期間限定レストアサービス」と銘打ってカシオが実施したこの取り組み、
発表されるやいなや、業界、そしてファンは騒然としました。

なぜなら、伝説の初代モデル「DW-5000C」と、
その流れを汲む「DW-5600C」の2機種を対象にして、
ベゼル、バンド、電池交換をレストレーションするサービスを展開するという
内容だったからです。

時計本体としては堅牢なG-SHOCKといえども、樹脂部分の経年劣化に抗うことはできません。
ましてや、 DW-5000C、DW-5600C、ともにサポートを終了した80年代のモデル。
そんな歴史あるモデルを、カシオが期間限定でレストアするというのですから、
スピードモデルファンが色めき立つのも無理はありませんでした。

83年発売のDW-5000C、87年発売のDW-5600C、ともに発売から30年以上が経過し、
当然サポートを終了した機種。

カシオも、修理用の外装部品は欠品しているし、既に金型も所有していない状況でした。
そんな中、やはりカシオ社内でも、このレストア企画を実施することに対して
賛否両論あったようです。

要は、しっかりと品質を担保できるのか、そしてビジネスとして成り立つのか、
ということですね。

結論から言うと、ビジネスそっちのけのサービスとして走ったのだと想定します。

だって、すでに金型が存在しないベゼルを製造、しかも少量生産でありながら
配送料などを含めて＠1万1232円（税込）でやりきったのですから。

しかし、さすがはG-SHOCK。品質に妥協はありませんでした。
オリジナルと全く区別がつかないクオリティーに仕上げてくるところは流石でしたね。

この企画は、ファンの要望に真摯に向き合ったメーカーの心意気が実現させたもので
正に奇跡のサービスだったと言えるでしょう。

繰り返しますが、既に金型は存在しません。
そんな中で、新開発の光成型技術を用いてベゼルを複製しました。

光成型技術とは、カシオ社内で保管されていた DW-5000Cのベゼルをマスターモデルとしてシリコン型を起こし、
これにG-SHOCKのウレタン素材を充填して近赤外線で加熱、
冷却後に型から取り出して仕上げるというもの。
光成形でウレタンを用いるのは業界初の偉業です。

さらっと書きましたが、しっかりとしたベゼル供給が実現できる目処が立つまで
約2年間にわたる研究開発期間を要したそうです。
大変な苦労ですね。頭が下がります。
ここでもまた、流石は妥協を知らないG-SHOCKの世界ですね。

これらのサービスは、手作業の工程が大半であり、
製作数は1日におおよそ20〜30個ほどしかできません。
まさに手の込んだ職人技。

こんな特別対応ですので、期間を限定した取り組みにせざるを得ません。
となると、この期間限定の企画というところも希少性を高めますね。

これほどまでに特別なレストレーションサービスが施されたスピードモデルが、
人気を博さない訳がありませんね。
レストアされた『DW-5000C』『DW-5600C』、高額査定にご期待下さい。